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「権利を主張する前に義務を果たせよ」と主張する前に法律守れよ

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権利を主張する前に義務を果たせよ!

――とは、ブラック企業の経営者や管理職者がよく口にする慣用句である。

しかし部下や従業員側が権利を主張するのは、得てして「そもそも守られるべき法律が守られていないから」である。

というより、法律が守られていないからわざわざ権利の主張なんかをしなければならないのだ。

そのことを棚に上げて(まず最優先で守られるべき法律を守らず他者の人権を侵害しておいて)、まるで自分が被害者であるかのように「権利を主張する前に義務を果たせよ」などとほざく権利こそあってはならない。

それでは以下に、このような発言がなされる背景として特に多い二つのモデルケースを例に挙げよう。

ケース1:

――与えられた仕事を時間内に終わらせられないのは自分のせいでしょ。なのに残業代を払えだなんて、「権利を主張する前に義務を果たせよ!」

ケース2:

――有給取りたいだぁ? 納期は間に合うのか!? ノルマは達成できたのか!? ほかの人はみんながんばってるのにおまえだけ休もうってのか!? 「権利を主張する前に義務を果たせよ!」

……以上がブラック企業でありがちなケース1・2であるが、この主張についてのおかしな点や突っ込みどころをざっと考えてみた。

それでは、順に解説していこう。

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「権利を主張する前に義務を果たすべき」が正しくないこれだけの理由

1.まず法的に違法である

もう一番最初の理由からしてすでに論破確定してしまった感があるが、
たとえ本当にその人の仕事が遅いのが原因であっても残業をさせれば残業代を払わねば違法であるし、有給休暇を与えないことも法的にできない。
(後に詳しく解説するが、有給休暇の場合は取得する時期を変えてもらうことはできる)

よって、モデルケースの1・2そのいずれにおいても日本の労働法では通用しない。

ただし、本事由はあくまで日本国内における決まり事なので、どこの国でも絶対的に正しいというわけではない。

……なにが言いたいかというと、どうしても残業代を支払うことや有給休暇を取らせることに納得がいかないのであれば、
労働法もまともに存在しないような発展途上国で会社立ち上げればいいと思うよ! そうすりゃあなたはきっと正しい! ヨカッタネ^^

2.なんなら義務ですらない

雇用契約上における労働者の義務とは、基本的には契約した労働時間内において働くことである。

決して「与えられた仕事をすべてこなすまで働くこと」ではないため、それはもはや義務ですらないのだ。

むしろ定時が来た時点で立派に責務を果たしていると言える。

さて、ここで一つ、今度は雇用者側へアドバイスしたい。

というのも、従業員側と雇用者側の間で義務や仕事の範囲に齟齬が出る原因は、「あなたの考える義務の範囲と、労働者の考える義務の範囲がそれぞれ共有化されていないから」である。

そこの目線合わせをしておかないと、ケース1・2以外でも仕事におけるあらゆるところで軋轢が生じてしまう。

仮にあなたがブラック経営者ではない、真っ当に法律を遵守しようとしている正しき思想の持ち主であったとしても、従業員との目線合わせができていないただそれだけの理由でいざこざが起きてしまう可能性があるのだ。
(まあ、この程度のことを言われないとわからないようじゃあ、たとえ真っ当な人間であっても人の上に立つ器ではないと言えるが)

しかしながら、実態としては自身の法律違反を棚に上げて「共有化だぁ? んなこといちいち言われなくてもわかれよ!」と思ってるカス経営者が多いのだが。

3.むしろおまえが義務を果たせてない

使用者が人を雇う際には、労働者の健康への配慮を行わなければならない法的義務が伴う。以下に厚生労働省の記述を抜粋しよう。

法定の労働時間、休憩、休日

  • 使用者は、原則として、1日に8時間、1週間に40時間を超えて労働させてはいけません。
  • 使用者は、労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を与えなければいけません。
  • 使用者は、少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければなりません。

年次有給休暇

  • 使用者は、労働者が(1)6ヶ月間継続勤務し、(2)その6ヶ月間の全労働日の8割以上を出勤した場合は、10日(継続または分割)の有給休暇を与えなければなりません。
  • 6ヶ月の継続勤務以降は、継続勤務1年ごとに1日づつ、継続勤務3年6ヶ月以降は2日づつを増加した日数(最高20日)を与えなければなりません。

出典:『厚生労働省 – 労働時間・休日に関する主な制度』より引用

注目すべきは、「させてもよい」ではなく、「労働させてはいけません。」や「与えなければいけません。」のようにMUSTな書き方をされているところである。

そう、長時間労働の抑制や休暇の促進についてはむしろ使用者側が積極的に行わなければならない義務なのだ。

それをさせないというのはつまり、誰よりもまず自分が義務を全うしていないことが言える。

それでよく他人に「義務を果たせよ」などと言えたもんだよなぁ!?

じゃあとりあえず自分が責任を果たせよな!

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そしてもう一つ、これは使用者がかわいそうであるが、「働かない従業員を働かせるのもまた使用者に課された義務」なのである。

よって残念ながら、「働かないならおまえには有給取らせねえ!」ではなく、「働かないなら俺がちゃんと働かさなければならねえ……」となってしまうのだ。本来の在り方としては。

さすがにちょっとかわいそうな気もするが、人を雇うとはそういうことなのだ。

4.権利の前に義務などという優先順位はない

先に義務を果たさなければ権利を主張してはならないなどという決まりはない。

このことから、「権利を主張する前に義務を果たせよ!」が完全にただの俺様ルールであることが言える。

一方で、義務や権利以上に強い拘束力を持った法律は最優先で守らねばならないので、残業代を支払わないことや有給休暇を取らせないことのほうがよっぽど先にどうにかすべきである。

義務とか権利とかどうこう言う以前に、最優先で法律を守ろう。

※ただし、稀に責任と権利が一対のセットとなっていて、優先順位が発生するものも例外としてあるので注意しよう。とはいえ今回挙げたケース1・2にはないので安心してほしい。

その逆に、雇用者側が行使できる権利とは?

ところで、当たり前のことであるが従業員側だけでなく雇用する側にも権利は与えられている。

そのことを書かないのはフェアではないので、それについてもきちんと解説しよう。

1.働かない従業員に困った! ……そんなときの権利とは?

たとえば働かない労働者に対して、会社側は解雇をできる権利を持っている。その権利を行使すれば、金食い虫を排除することが合法的に可能なのだ。

しかし一つ注意点がある。

それは、先に少し挙げた「責任と権利が一対となっている類いのもの」であること。

要するに、解雇する権利を発動するためには、まず自分が働かない従業員を指導及び注意を再三に渡り行い(1回や2回程度では認められない)、それでもなお勤務態度に反省が見られなかった場合にようやく行使が可能となるのだ。

その上、解雇を行う際には30日以上前にその旨を通告するか、もしくは最大30日分の賃金を支払わなければならない。

えっ……そんなのやけに雇用者にとって不利じゃない? と思われるかもしれないが、これはもうその通りである。

基本的に労働基準法は従業員……の中でも特に正社員に対しての保護が厚い。

というのも、そうでもしないと会社側とのパワーバランスが保てないからだ――いや、そうしていてもまだ会社側の方が圧倒的に優位に立っているのが日本の労働社会である。

結局のところ、首を絞めているのは自らの手なのだ。

また、言うまでもないことかもしれないが、「ノルマ達成できなかったからクビ」「妊娠したからクビ」「怪我して数週間出勤できなくなったからクビ」などはどれも無効で、不当解雇となるので注意しよう。

2.忙しい時期に取られる有給休暇に困った! ……そんなときの権利とは?

本記事の冒頭でちょろっと触れたが、会社側には有給休暇の申請を完全に拒絶することはできないが、ある条件下にあるときに取得する時期を変えてもらうようお願いできる権利がある。これを時季変更権と呼ぶ。
※労働基準法39条5項による。

ある条件とは、条文通りに答えると「事業の正常な運営を妨げる場合」を指す。

あやふやすぎて意味わかんねえと思うが、よっぽどのことでもない限りまず適用されないのでもう気にしないほうがいい。

たとえば「忙しい」が理由で時季変更権を行使することはできないし、「繁忙期」が理由でもできない。「お客さんとの約束がある」ですらむり。

法的には、「じゃあその日だけ誰かに代わりにやってもらうなりその日だけ人雇うなりすれば?」となる。

その日だけ人を雇うとか無茶言うなよと思うかもしれないが、言われるのが法律である。

また、人手不足は企業側の怠慢として解釈されるため、それを理由に断ることもできないのだ。

よって本当に、その人の代わりが誰もできず、できる人を雇うこともできず、またどうしてもその日の予定を変えられないなどの最大限の努力をした上でじゃないと時季変更権の行使は不可能なのだ。どうだ、よっぽどだろう。

加えて有給休暇の取得に上司の許可は必要ないので、許可していないことを理由に取り下げることもできない。

なんなら有給休暇の取得理由を言う必要すらないので、もしも部下からメールで一方的に「今日有給とりまぁ~~~すwww」と送られてしまえばもうそれで有効である。よっぽど重要な仕事でもない限り、拒否できないのだ。ドンマイ!

総括

さて、解雇権も時季変更権もどちらも雇用者側に与えられた「権利」であるが、…………ところで!

権利を主張する前に義務を果たせよ――というのが、おまえの主張だったな。

で、あればまずは法的責務を完全にクリアし、ホワイト企業となってから権利を行使するのが筋である。もしもそれができていないのであれば、自らの言葉によって権利を行使すべきでないことが言えよう。

また、仮に二枚舌で「自分はいいけど他人はだめだからぁ~w」と開き直っていても、法的にはもっぱら通用しないので覚悟しておこう。

以上が、「権利を主張する前に義務を果たせよ」がおかしい理由である。

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