ポメラを9年愛用した作家の私が、DM200よりもDM100を選んだ理由

作家・ライター・物書きとして

ポメラ(pomera)という商品をご存じだろうか。
キングジム社が2008年11月10日に発売した、『いつでもどこでもすぐ「メモる」』をコンセプトとして開発されたデジタルメモ帳のことである。

――デジタルメモ帳。
と、言われてもピンとこないかもしれない。そういう人のために簡単に説明すると、

文字を打つ。文章を作る。
ただそれだけの、機械である。

しかしこの商品、開発元であるキングジム社が想定した以上の売り上げをたたき出すこととなった。

と言うのも、作家やブロガーなどの物書きにとって、もはや必需品とも呼べる唯一無二の製品だったのだ。

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物書きの必需品・ポメラ。今から買うならどの機種に?

私とポメラDM10との出会い

私が作家としてデビューしたのは2009年の頃。つまり、最初期型のポメラが発売した翌年となる。

だが、本という商品は急には出せない。企画を練る時間に企画会議で通るまでの時間、執筆する時間に製本されて世に出回るまでの時間が必要だ。

そういったリードタイムがあったため2009年のデビューとなってしまったが、実態としては2008年の時点で既に作家となることは決定していた。

そしてそんな事情のある私にとって、ポメラの最初期型である「DM10」はこれ以上ないタイミングでの発売だったのだ。

ちなみにこれが9年間苦楽を共にしてきたDM10である。現在では生産終了となっている。

長年愛用し、ボロボロとなったため買い換えを

外側だけを見るとまだまだ戦えそうではあるが、中を開くとさすがにもうボロボロで、折りたたみ式のキーボードもうまく開いてくれないようになってしまっている。

この手のガジェットは「すぐ書ける」ことが非常に重要なので、キーボードを開くのにもたつくようになるとそれはかなりの死活問題なのだ。

とはいえ、2008年の購入から現在2017年まで、よく現役で戦ってくれたものである。電化製品として、かなりの長寿命であることがうかがえよう。

しかも、開くのに何秒か余計に時間がかかる(ソフト的にじゃなくて物理的に)ようになっただけで、まだまだ使用することは充分可能だ。決して雑な作りではないことが、私の9年間の使用によって証明された。

買い換え検討候補はDM100かDM200

さて、
では買い換えを考えたとき、候補はDM10の後継機であり上位機種であるDM100か、そのさらに後継機であり最上位機種であるDM200か、が検討される。DM10はもう売ってないし。

では、それぞれの違いと優位性を見てみよう。

自分があえて一世代前のDM100を選んだ理由

1.起動が速い

スペック表ではわからない、しかし重大な要素である。

ちなみにDM100が起動時間2秒で、DM200が起動時間4.5秒だ。

最初の方にも書いたとおり、この手の製品は書きたいと思ったときにすぐ書けることが本当に重要だ。そもそも、多少の待ち時間がかかってもいいのならば今のDM10のままでいい。買い換えようと思った動機の部分がネックとなっているのではちと厳しい。

ちなみに、あまり書き慣れていない人にとっては「数秒くらいの差じゃん……。誤差だろ」と思われるかもしれない。が、この数秒が物書きにとって大切なことなのである。

今回の購入にあたってほかの比較ブログを読んでみたが、私以外の人も同様の指摘をされているので、別段私だけが特殊なわけでもない。

2.電池駆動式である

DM100は電池駆動だが、DM200はバッテリー駆動である。

最新機種はなぜバッテリー駆動なんかにしたのか……と思って調べていると、いろいろと機能を詰め込みすぎた結果、電池駆動式だとかなりの本数が必要になったためバッテリー駆動にしたらしい。アホか。

いつでもどこでもすぐ書けるのが特徴のこのガジェットで、バッテリー式なんかにしちゃったら書きたいときに書けないじゃないか!

電池駆動式ならば、もし電池がなくなっても最悪どっかその辺のコンビニなりで買えばすぐに復活するのに……。

また、そういった事態を極力起こらないようにするために毎回毎回充電しなきゃいけないのもめんどくさい。バッテリー駆動にしたことで、完全に手軽さが死んでしまっている。

3.電池の保ちが遙かに良い

同じく電池つながりだが、そもそもの電池の保ちからして違う。それもかなり大きく違う。

DM200が約18時間なのに対し、DM100は約30時間。エネループを使っても25時間と、えらい違う。

しかもDM200は内蔵リチウム電池だから、使ってるうちにだんだんと劣化する。

スマホやタブレットPCにしてもそうだが、こと出先での使用が前提の電化製品において、電池の保ちってかなり重要な要素ではないかと。

そこに大きく差を開けられているのは正直だいぶ痛い。

4.USB接続をするだけですぐにファイル転送が可能

DM10、そしてDM100はUSBケーブルを挿すだけですぐにファイルの転送が可能な状態となったが、なぜか最新機種のDM200ではいちいち「ファイルの設定をしますよ~」みたいなコマンドを入れてやらないとそのモードにならない。

おいおい、そりゃねーぜ。FUCK!!

ここはソフトウェアアップデートなどでどうにかできそうなので、早めに改善してもらいたいところである。DM100ユーザーの私には関係ないがな!

5.アンチグレア液晶のため、目が疲れにくい

アンチグレア液晶ってなんぞや? って人に超簡単に解説すると、

反射しにくい液晶ディスプレイがアンチグレア液晶。その逆にツルツルテカテカの反射しまくり液晶ディスプレイがグレア液晶。

ツルツルテカテカの方がかっこよくてアップル製品とかでよく使用されているが、これには実は重大な欠点がある。

それは、非常に目が疲れやすいこと。

この手の仕事用ガジェットでツルツルテカテカなのははっきり言ってありえない。DM200、おめーのことだよ。

DM100はアンチグレアなので安心。まあ、DM200もアンチグレアの保護シートつければ良いけどさぁ……。

6.軽い

ここも、普段から持ち歩くことを考えると欠かせない要素である。

DM200が約580g、DM100が約440gだ。もちろん電池込みの重さである。

なんていうか、この手の製品ってだいたい後継機になればなるほど余計な機能をぶっ込みすぎたせいで重く・遅く・電池が保たなくなる宿命だよね。そんで凡作になり果てる……。

でも、ユーザーが求めているのってだいたいのケースで多機能なんかじゃなくて、「必要な機能を高水準で提供してくれること」なんだよね。

しかも持ち運ぶことが前提の商品が、進化するはずの後継機になって「重くなる」のはちょっとユーザー目線に立てていないのではないかと……。

その分画面が大きくなったからある程度はしかたないとは思うけどね。

でもそれを言うと今度は逆に軽くするためにバッテリー駆動にしてるんだから、やっぱり「重量」においても進化させてほしかった。

多機能や画面の大きさは、重さと利便性を犠牲にしてまで求めるものでもない。

7.安い

これはさすがにしかたがない。が、価格の差を埋められるほどの魅力がDM200にないのは致命的。

公称では、
DM200が¥49,800。
DM100が¥36,000とのことだが、実勢価格では下記のようになっている。

    

 

うーん、2万円以上も違う!

もちろんDM200にも良いところや勝っているところはあるが、その逆に上で挙げたようにDM100が勝っているところもあるので、それぞれ相殺した結果残ったメリットに対しての価格差があまりにも大きすぎる。

私は別にお金に困ってはいないし、仕事道具には結構な額を投資するタチであるが、要らないものは要らないし買わない。

その逆に、DM200の良いところ

私は上記の理由によりDM100を選んだが、DM200にも良いところや勝っているところはある。

人によってはそっちが刺さることもあるので、DM200の良いところを挙げよう。

1.内蔵の辞書ATOKが超パワーアップ

これに関してはDM200の方が圧倒的に優秀で、そしてニーズとしてもかなりほしかったところである。

とはいえほかのDM100のメリットを覆すほどのベネフィットはなかったし、そもそもこの手のガジェットを必要としている人はガチガチの物書きであるため、メイン機である自宅PCに調教済みのATOKがインストールされているだろう。

そこから調教済みの辞書をエクスポートしてDM100に読み込ませれば、不便さはだいぶ軽減される。

2.白黒反転機能

初期製品であるDM10にはついてたのに、DM100になってなくなって、そしてDM200でまた復活した機能。

人はなぜ白黒反転させるのか。
かっこいいから? ――否ッ!!

実は、そのほうが目が疲れにくいからである。
プログラマやシナリオライター、作家など、歴戦のデスクワーカーほど背景は黒にしている。

つーかもう白背景ってだけで素人臭い。

ちなみに黒背景に白文字もまだ中級者。上級者は灰文字とかだから。そうやって極力目に悪いブルーライトの発光量抑えてるから。

3.ディスプレイが40%ほど大きい

さっきもちょろっと指摘したが、DM200の方が画面は大きい。その分視認できる文字量は多くなるため、ここはDM200の方が勝ってると言えるだろう。

ちなみにDM200が7.0インチで、DM100が5.7インチ。

インチ数で言われてもピンとこないと思うので、DM200の方が40%ほど大きいと考えてもらえれば良し。

4.無線LAN搭載

無線LANが搭載されたことによって、手軽にオンラインで文章データを通信できるようになった。

……が!

それはDM100でもFlashAir(※東芝の発売する、無線LAN機能付きのSDカードのこと)を使えば可能だし、DM200からは逆にBluetoothファイル転送機能がなくなったしで、わりと微妙な感じに……。

とはいえ、最初からLANが付いてる方がメリットは多いと言えよう。Bluetoothファイル転送機能はあんまり使われないし。ここは素直に、DM200の勝ってる部分であると言える。

5.400字詰め原稿用紙モードを搭載

人によってはほしい機能。

一応、縦書きモードはDM100もDM200もどっちも付いているが、400字詰めの原稿用紙のレイアウトに沿った表示をしてくれるのはDM200だけ。

原稿用紙換算での仕事をしている人には、まさしくそのままのレイアウトで表示してくれるので大変ありがたいだろう。

6.類語辞典が搭載されている

国語、英和、和英辞典はDM100にも付いていたが、DM200はこれらに加えて「角川類語新辞典.S」を搭載した。

個人的に、文章を書いているときに一番使う辞典は類語辞典であるため、これは魅力的である。

7.親指シフト入力が使える

刺さる人にはめちゃくちゃ刺さる。けれど、
要らない人には全然要らないという尖りに尖った機能。

「かな入力」や「ローマ字入力」は皆さんご存じだと思うが、「親指シフト入力」は比較的マイナーなのでもしかしたら知らない人もいるだろう。

そんな人のために「親指シフト入力」を簡単に説明すると、

最速の日本語入力方式

のことである。

使い手こそあまりいないものの、これをマスターした人の日本語入力速度は「ローマ字入力」や「かな入力」をマスターした人と比べても格段に速いという上級者向けの入力スタイルである。

もしもあなたが親指シフトタイパーならば、DM200購入検討の余地は充分にあるだろう。

まとめ

いかがだろうか。

一応、今回の記事はほかの検索して出てくるブログや企業サイトよりもかなり詳しく違いと優位性を記述したつもりではあるが、ほかにもまだまだ細かな差はある。

最終的に、自分の用途に合った物を選ぶのが良いだろう。

 

DM200

DM100

 

あなたはどっちを、買いますか?

 

そして最後に一言。
この記事は、辛辣ながらもあふれ出るポメラ愛によって書かれた。

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