留学生から国際結婚してイギリス在住! その苦労と良かった点とは?

生き方・人生について

本日の記事は、以前『結婚を機に海外へ移住。イギリスから生活費を稼ぐためにライターへ』を執筆した「首藤 加奈子」様がお送りします。


筆者はイギリス留学を経て、イギリス人の夫と国際結婚。現在イギリスに在住しています。

海外生活に憧れを抱いている人も多いと思いますが、実際暮らしてみると大変なことや苦労することもあります。留学から旅行者としてみる景色と、国際結婚して永住を前提としてみる景色とでは、やはり見えるモノも違ってきます。

そんなイギリスでの暮らし、苦労や良かった点を筆者の実体験からご紹介します。

始まりは、留学からだった。――インスピレーションで決めたイギリス留学

私には離婚歴があり、離婚後一人旅で訪れたイギリスのロンドンで、ほとんど直感で「ここに住む!」と決意しました。当然すぐに移住というわけにはいかないので、まずは語学留学です。

英語も全く喋れない状態で、今考えるとかなり突っ走った行動だったと思います。けれど勢いというのは何事にも必要です。

私はイギリス南部の海辺のリゾート地、ブライトンに留学することにしました。語学学校は安さ重視で選んでいたので学校に日本人はおらず、出稼ぎのイタリア人やスペイン人と一緒に勉強しました。

 

最初は授業自体が全く理解できなかったので、非常に苦労しました。それでも単語を中心に猛勉強し、一人でパブに出かけていってイギリス人のおじさん達とおしゃべり。本場の英語を短期間で学んでいきました。

毎日勉強と遊びに忙しく、細かいことを考えている暇もありませんでした。

離婚してこれからどうするか、将来の不安が常にありましたが、ただがむしゃらに日々を送っていくのは心地よかったです。また、この頃お小遣い稼ぎに始めたライティングの仕事が、現在の私の仕事となっています。

留学中に運命の人と巡り会う。そして国際結婚を経て永住へ。

留学して1年が経つ頃、私は学校の先生の友人の、イギリス人男性と恋に落ちました。彼もバツイチで子供はなし。私達は似た者同士で、すぐに付き合うようになりました。

けれど私のビザはもうすぐ終了するので、日本に帰らなくてはなりません。そんな時彼からプロポーズされ、私は新しい人生を彼とともに歩んでいこうと決意しました。

 

ところが、結婚のためのビザ取得は想像以上に大変で、ストレスを伴うものでした。

帰国してから彼とは遠距離恋愛なのに、ビザのことになると喧嘩になってしまうこともありました。同時に、この頃私は「本当に結婚して良いのだろうか」という葛藤に襲われていました。

「国際結婚は大変だ」とみんなが言うし、家族も実際心配していました。日本に帰ってきてから、遠い異国の地にいる彼とスカイプで話しても、「私は彼のことをどこまで知っているんだろう」という不安に襲われることもありました。

悶々とする中、ビザ取得に向けて手続きをお願いしていた会社から良い連絡があり、イギリス在住、国際結婚へと踏切りました。

ビザにはとてもお金がかかり、また精神的にも疲労しました。それでもとにかくイギリスに帰って結婚しよう。きっと楽しい生活が待っている、と信じていました。

留学ではないイギリス生活。「そこに住む」という苦労

イギリス留学での楽しい思い出があったので、イギリスに在住することには何の不安もありませんでした。けれどいざ帰ってきてみれば、留学生だった頃と主婦の現在では、生活スタイルがまるで違います。

留学時代の友人はみんな故郷に帰り、その上私たちは仕事の都合で郊外に引っ越しました。知っている人が全くいない土地で、1日誰とも話すことなく、旦那さんの帰りを待つだけの日々。

毎日のライティングの仕事だけが、私の支えとなっていました。次第に私は、イギリスで楽しく生活していく、馴染んでいくという自信をなくしていきました。

海外生活のリアルを目の当たりにし、友人も家族もいないという現実、言いようのない孤独感に直面したのです。

知っている人が居ない。海外での孤独感を受け入れられるようになるまで

孤独感を感じると、とても悲しい気持ちになってしまいます。多くの人が孤独感を良いものとはとらえないと思います。けれど、イギリスで主婦になって学んだことは「孤独と向き合って、少しずつ前へ進んでいくしかない」ということです。

一朝一夕には何事もなし得ません。英語の勉強、人とのつながり、本当の友達。そういった生きていくために必要なものは、何もかもゼロから構築していかなければならないのです。

そして、海外に住んでいる孤独感は、きっと海外に住んでいる限り、なくなることはないでしょう。

ですからうまく付き合って、孤独を良いエネルギーへと変えていく必要があるのです。私の場合、孤独感から生まれる発想や文章のアイデアにとても助けられています。

自分が感じている孤独感に対して反発するのではなく、そのまま受け入れることによって、少しずつ前向きな気持ちになることができたのです。

イギリスの文化――徹底的な個人主義の国

イギリスには、私のような外国人も多く住んでいます。田舎の方では私のようなアジア人は珍しいですが、ロンドンに行けば、世界中どこの国の人も暮らしています。

国が違えば文化も習慣も、宗教も違っています。そのためか、イギリス人は全体的にとても個人主義です。自分の考え、やり方があって当然で、それを無理に人に合わせる必要はありません。人それぞれ違う考え方があり、誰かと同じにする必要はないのです。

 

みんなと一緒だと安心、という考えが主流の日本人からすると、この感覚はとても新しいものです。思えば私は、ずっと日本の学校で反発してきたような気がします。

みんなと一緒の行動を強いられる時、息がつまるような感覚がありました。

今思えばですが、私は私なりに「合わない」部分を日本に感じていたのかもしれません。イギリスのように個人主義の国では、私は孤独を感じながらも、楽な部分があるのだと思います。

周囲を気にしなくて良い生き方

イギリスは個人主義の国と言いましたが、それは子供の頃からの教育のあり方に起因していると思います。

勉強、学歴が大事という日本の教育と違って、イギリスでは個人の才能や好きなことを伸ばす教育が一般的であるようです。勉強が苦手でもダンスが好きな子や、絵を描くのが得意な子は、それを伸ばしていけば良いのです。

日本でももちろん、才能のある子はそのようにして良いところを伸ばしていくと思いますが、イギリスではそれがもっと普通なのです。

無理して周囲に合わせる必要はなく、家庭の数だけ物事の考え方があります。

また、イギリス人はきちんと話し合いで解決するのが好きで、自分の考えを言葉にする、弁が立つ人が多いです。子供の頃から学校で、人前でスピーチすることを教え込まれているからです。

外国人としてイギリスに暮らしてみると、そのあたりは非常に居心地が良く、「自分は自分」と割り切り、発言することができます。

その上私はヨーロッパでは珍しい「日本人」なので、何か不可解な行動をしたとしても、周囲のイギリス人からは納得の目で見られているわけです。

あるいは、誰も私のことを気にも留めていない。そのあたりに私は「自由」を感じます。

自分らしく生きるのに、住む場所は関係ない

海外生活は、毎日が海外旅行というわけではありません。

それでも時々近所を歩きながら、イギリスの可愛らしい街並みや煙突つきの屋根、青々とした芝生のフィールドなどを見ると、「ああ、イギリスに住んでいるんだな」と改めて感じることがあります。

日本で生まれ育っている以上、外国はどこまでいっても「外国」であり、日本と違っているから美しいと感じるのです。

周囲の景色がどんなに変わっても、自分自身はそれほど変わるわけではありません。何かになろうとして無理をするよりも、自分らしく無理せずいることが大切だと思います。

その中で、自分のペースで進んでいくこと、その地に馴染むための努力をすることが必要なのです。これからも、どこに住んでも、自分らしく前向きに過ごしていきたいと思っています。

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