ちょっとした副業として時間の制約なく活動していけることに魅力を感じ、クラウドワーカーとして働きたいときにだけ働いている方が時代の流れに沿って少しずつ増えてきております。
クラウドワーカーってなに? って人のために簡単に説明しますと、
クラウドワーカーとは、主にインターネット上でのやりとりで仕事の請負をしている人のことを言います。
そしてそのクラウドワーカー達の行う仕事の形態のことを、クラウドソーシングと言います。
自分の持つスキル提供することで会社に雇用されずに稼いでいるクラウドワーカーのような働き方は、実はとても参入障壁の低い市場です。
そしてなにより、手を伸ばしやすいのは副業およびその延長線上として働く”個人”の売り手だけではありません。
買い手である私のような経営者や企業からしても、クラウドワーカーの皆さまはとても重宝しております。
その理由として、社内で消化できない業務をすぐに外注できる、しかも多数の選択肢がある、さらに依頼料が企業相場に比べて格段に安いなど、これほど都合のいい発注先もありません。
なんといっても、その後の継続的な関係性を相手より求められないのも魅力です。
クラウドワーカーは顔の見えない相手となりますが、昨今ではそういった方へ外注をかけることに抵抗を覚える企業も少なくなってきていると感じます。
少なくとも、私が経営しているような零細企業であれば、なによりコストバランスを重視していますので、リアル営業を受けるような先への発注はほぼありません。
弊社では内部でこなすことのできない業務であれば、ココナラやランサーズなどのクラウドソーシングサービスを活用して、求めるスキルを保有している方を検索しながら依頼することが多くなってきています。
そしてだからこそ、クラウドソーシングを請けることで生計を立てている人も増えているのです。
私は売り手としてもココナラで活動をしておりますが、企業担当者からの依頼も結構受けますので、クラウドワーカーを活用している企業はそれだけ多くなっていることが体感できます。
誰もが知っているような企業から依頼を受けることもありますので、きっと私がイメージしている以上に多くの企業が個人のスキルへ注目しているのかもしれません。
しかし、クラウドワーカーという働き方が持て囃される一方で、「企業や経団連にとって都合の良い存在だからマスコミが煽るだけ」といった意見が出ているのも確かです。
では、はたして本当にクラウドワーカーは都合の良いように躍らされているだけなのでしょうか。
クラウドソーシングのような働き方は避けるべきなのでしょうか。
企業がクラウドワーカーのどの点に魅力を感じているのかも踏まえて、以下に解説しましょう。
本日の記事は、いくつもの会社を経営しているPHIROS様の提供でお送りします。
目次
企業がクラウドソーシングに注目している理由と、その働き方の将来について
クラウドワーカーに外注することで、雇用のリスクを低減させられる
ところで、個人的な経営理念となりますので非常に恐縮ですが、私はスモールオフィスという概念を提唱しています。
端的に申し上げると、中枢機能のみを社内で賄い、他の業務はすべてクラウドワーカーなどに外注していくスタイルです。
個人代理店を活用するなどの施策にも取り組んでおり、社内で抱える人員を可能な限り少なくしていくよう意識しているのです。
なぜ私がこのような経営の仕方をしているのかと言いますと、一度人を正社員として雇ってしまったら法的にも倫理的にも簡単にはクビを切れないからです。
パナソニックやソニーといった大手企業であっても人員削減として大量のリストラを行うことがあるのに、私のような中小・零細企業の経営者にとって一人の人間を雇うということは、それだけ大きなリスクとなりえるのです。
(しかも、大手企業であれば希望退職に応じた方へ退職金の上乗せのようなこともできますが、資本の少ない企業ではそうもいきません……)
しかし、大切な経営資源のひとつがヒトであるのもまた事実であり、発生する業務をこなしていくことのできる人材をいつまでも確保しないわけにもいきません。
こういった矛盾を解消するためにクラウドワーカーを活用しているわけです。
景気の波によって、クラウドワーカーの需要はどう変わっていく?
現在は好景気と言われています。
実際に各種報道されている経済指標も不況時のものを示していないのですから、好景気であると報道されるのも当然かもしれませんが、実態としてその恩恵を感じている人はそう多くないことでしょう。
景況感の恩恵を従業員が感じるまでには確かに若干の遅れがありますが、経営者に訊いてみてもやはりいまいち好景気だと感じられる方は少ないように思います。
実際に私とお付き合いのある方々へ“景気の良さはどうですか?”と聞いたところで、8割は「別に何も違いを感じない」といった回答ばかりです。
私が居住しているのが地方なのでそう感じるのかもしれませんが、60万人都市ですので決してド田舎というわけでもありません。
世間では景気が良いと言われていても実態はこの程度ということでありますから、またすぐ後には停滞して不景気がやってくる可能性だってあります。
近年、景気循環のサイクルはとても短いものとなっています。
10年ほど前のリーマンショックを思い出してみてください。各種の相場は乱高下しながら暴落し、それまでの好景気は停滞する間もなく深い不況の谷間へと追いやられてしまいました。
景気が悪くなれば売上は下がっていきますので、それぞれの企業が対応を迫られますが、対応はとても簡単です。
コスト削減を粛々と進めていき、その時点に応じた経営スタイルへと身の丈を合わせていけばいいだけのことです。
何を残して何を捨てるのか追求するということは、こなしきれない業務を社内の負担とするのか外注へ回すのか判断することでもあります。
そうした際に、雇用として抱えなくてもいいクラウドワーカーの存在価値はより高まっていくことは間違いありません。経営をするなかで、人的コストが一番かさむのですから。
人を雇わないですむというのは、経営者にとってそれだけ価値のあることなのです。
今後ますますクラウドワーカーの需要が増える理由
いつかは必ず不景気がやってきます。その際、企業はきっとこれまで以上の人員削減をおこなうでしょう。
なぜならば、正社員として社内に抱えておかなくても、クラウドワーカーを活用してしまえば簡単に会社としての業務遂行能力が確保できるためです。
もしもその辺に疎い経営者が運営する会社であっても、クラウドワーカーの活用に慣れている会社へと業務委託していけば済む話です。
クラウドワーカーの活用は、何も自社で消化しきれない業務を依頼するばかりではありません。
そのスキルを自社の商品として売り捌けばいいのです。
例えば、動画編集について社内スキルが皆無であったとしましょう。
探してみたところ、クラウドワーカーが15万円で活用できることを知った場合、その企業は25~30万円で受注を取ればいいのです。
これだけで粗利率にして40%は確保できるわけですから、運営上の問題は何もありません。むしろメリットだらけです。
雇い入れた人材を教育していくためのコストや時間が省かれますし、スキルを売りにしているクラウドワーカーへ依頼主の希望をそのまま伝えていくだけでひとつの商売が成立します。
クラウドワーカーは企業にとって都合が良いだけの存在なのか?
このように書くと、「クラウドワーカーは簡単にクビを切れない正社員の代わりとして利用価値がある」と言われているようで気分を悪く思われるかもしれません。
そしてそれはほぼ事実です。否定はいたしません。
ですが、どの企業もそれが会社という組織である以上、どのようなきれいごとを並べようがすべてが営利目的で経営されています。
そう、何かしらのメリットがあるからこそ、企業は取引に至るのです。
企業がクラウドワーカーを活用することの最大のメリットは、前述の通り「雇用するリスクを抱えない」ことですが、逆に言えばただのそれだけで十分なメリットを提示できていることが言えます。
先ほど動画編集を例に挙げて、「クラウドワーカーに仕事を丸投げしてマージンだけ取れば良い」というような言い方をしましたが、実のところこれは正社員であっても同じです。
というより、従業員に仕事をさせたいからこそ経営者は人を雇うのです。
でなけりゃ人なんて雇いません。
これまではクラウドソーシングなんて働き方が一般的ではなかったため、人に仕事をやってもらうためには社員として雇用せざるをえませんでした。それが一般的だったのです。
たとえ正社員を抱えることで「仕事がなくても毎月給料を支払う必要がある」「簡単にはクビを切れない」「労働基準法により守られている」「有給休暇を取らせなければならない」などの経営者にとってはデメリットを対価として支払ってでも、人を雇わざるを得なかったのです。
それがクラウドソーシングのような働き方の登場により、事情が大きく変わりました。
これまで人員問題で抱えていたデメリットがなくなり、メリットのみになったのです。
そして繰り返しますが、企業はメリットがあるからこそ取引をします。
利用されている、と感じられるかもしれませんが、それは当たり前です。利用できるメリットがあるからこそ、取引をするのですから。
そしてそして、もはやメリットの薄まった正社員よりも、今後クラウドワーカーの需要が高まっていくのはもはや目に見えております。
また、経営者にとっては「雇用しなくてすむ」というメリットも、クラウドワーカーからすると「雇用されないですむ」というメリットにもなります。
雇用されないと言うことは、「働き方を選べる」「決められた時間働く必要がない」「能力次第で収入が青天井」「ちょっとだけ働いて、いっぱい遊ぶというような選択もできる」ということ。
もちろんその対価として、「有給休暇がない」などがありますが、最終的には自分の求めるライフスタイルにどちらがマッチしているかが重要だと思われます。
黎明期の今から始めるクラウドソーシング
これまで書いてきましたように、今後ますます重要視されていくクラウドワーカーは景気の波にも左右されない働き方といえます。
これから時間をかけて、クラウドワーカーが集う場にはスキルを持つ人材が集積していくかと思います。
皆さまもスキルを世に幅広く提供していくために、まずは副業としてクラウドワーカーとしての活動を検討してみてはいかがでしょうか。
実生活の延長線上では決して出会うことのできない人々との出会いも得られますし、仕事をこなしていくことでスキルも磨いていくことができます。
より成熟していくことが濃厚なマーケットで信用を築いておくことは、将来に得られるメリットの種に他なりません。