昨今はブラック企業やブラックバイトなど、雇用関係を巡った悪質な勤務実態が明るみに出ることが多くなりました。
ネットでも副業もしくは内職の選択肢の一つとして知名度を上げつつある、ココナラやランサーズといったクラウドソーシングサービスでも残念ながらブラッククライアントは存在します。
そして残念ながら、私もそのブラッククライアントに遭遇してしまいましたので、その体験談を元に注意すべき点をお教えしたいと思います。どうかあなたが、私と同じ目に遭わないように。
本日の記事は、フリーライターの「みあこ」様が執筆しております。
目次
サービスが普及したことでデメリットが目立つネット社会の現状
ネット環境が普及し始めた頃、新たに登場したコンテンツやサービスには必ずといっていいほど問題点が浮上し、それを追従する形でルール作りや法整備が行われてきました。
クラウドソーシング業界においても同様で、現在も発注者と受注者を保護する明確なガイドラインがない状態です。つまりクラウドソーシングを利用する誰もがトラブルに見舞われるかもしれないのです。
私自身もクラウドソーシングサイトにて仕事を受注するようになりました。新人の頃は幸いにも良クライアントに恵まれ、まじめに楽しく仕事をしていました。
クラウドソーシングで仕事を始めた頃は単価の安い仕事しかありませんでした。それでも、自分の可能性を信じて、単価の安い案件を引き受けては納品する毎日でした。
ブラッククライアントとの出会いと、用意周到な手口
そんな折に、当時の自分にとって単価が3倍以上ある仕事が初心者OKで募集されていました。発注者は発注実績が高いアカウントでした。
記事単価が高い上に、発注元の実績が確かとあればこれ以上の良案件はない! と早速応募しました。
実はこれこそがブラッククライアントの隠れ蓑だったのです。
応募して、すぐにトライアル発注がありました。トライアル発注とは受注者の能力を確認するために発注者が行う面接試験のようなものです。トライアルをパスすれば正式に受注できるという流れでしたので、なにも疑わずにトライアル記事を仕上げました。
納品後も、きちんとしたフィードバック(記事の修正やアドバイスなど)があり、対応後に継続発注をしたいという旨の連絡がありました。
ところが発注者からは「今後は依頼クライアントと直接連絡になる」という連絡をもらったのです。そう、発注者は本来のクライアントではなく、正規のクライアントから依頼を受けている代行者だったのです。
ここで初めて、代行業者の存在を知ったのです。
ついに姿を現したブラッククライアントは見事に真っ黒
それまでの取引アカウントが発注代行会社だったと知り驚きましたが、自分も初心者でしたから、クラウドソーシングには代行会社もあるのかと自分を納得させました。
そして正規クライアントの本アカウントから正式に連絡が来たので、これで仕事を受注できる! と喜んだのも、つかの間でした。
おかしな提案をされたのです。「もう一度、トライアルをしてください」と。
正直、嫌な予感がしました。しかし経験が浅い自分でもできる高額案件への希望が捨てきれないので、渋々ながら再度のトライアルを受けることを承諾しました。
ところが、ここでトラブルが起こります。なぜか発注者と連絡が取れなくなるのです。納品しても連絡はありませんでした。
クラウドソーシングで仕事を受けはじめ、自分なりにきちんと対応を心がけてきただけに、発注者と連絡がつかない状況は異常と感じました。
クラウドソーシングサイトにおいて、納品してあればシステム上は未払いが生じることはありません。しかし意思疎通の取れない相手では不信感が募るばかりです。
結局、納品してから1か月後にようやく発注者から連絡が来たのです。しかしさらに自分の神経を逆なでする出来事がありました。それは2度目に納品した作品を未承認のままでサイトに使用されたことです。
クライアントによって特殊な編集を経て掲載されるはずの作品が、編集されないまま掲載され、「本当に信用してもいいのか?」と迷うようになりました。そして、懐疑心は的中します。
トライアル価格が本採用の価格だと知り、偽りの条件を提示していたことが判明。おまけに連絡の不通は大量発注による連絡遅延だったことが分かり、継続依頼は2つ返事で断りました。
お金を払えばブラッククライアントを優位にすることを証明したクラウドソーシングサイトの闇
さらにおかしいと感じたことがあります。
数か月後、このクライアントが「大量発注にてサイト構築大成功」とクラウドソーシングサイトの発注サービスを利用した会社の成功例として掲載されていることです。
その影には、ぞんざいに扱われた多くの受注者がいると声を大にして訴えたいです。
実は同じクライアントからさらに低単価になった同様の依頼が来たので無視をしたら、全く同じ案件を今度はクラウドソーシングサイトの公式発注代行システムから紹介されてゾッとしました。
こうなると受注者自身が依頼を見抜く目を磨かなければならないなと痛感せざるを得ないのです。
おかしな案件にはすぐに手を引く
ネット社会ですから、どれだけ用心しても、悪質クライアントに当たることは致し方ないことです。
メッセージを受信する程度なら、難なく回避できますが、実際に受注しないと分からないケースも少なくありません。
発注代行会社の信用(評価や実績)や公式システムを隠れ蓑にし、さらにトライアルという方法をずる賢く利用して、単価を安く記事を集めた今回のクライアント。この発注者をクラウドソーシングの成功例と紹介する運営側にも悪意を感じます。
残念ながら法整備がない現状において、こういったクライアントの存在に気づいたら気づいた時点で手を引くことが一番です。
断ることで信頼や評価、実績に傷をつけてしまうのではないかと、ブラッククライアントやブラック依頼を断れない受注者も多いと思います。
しかし「No」と言う勇気は、自分の身やこれからの仕事環境を守るためには絶対に必要なことです。
もし依頼を受けたあとに気づいたら、正式な手順を踏んでサイトに通報しましょう。
受注前に気づいたら、はっきり断ればいいのです。
顔の見えないネット上でのやり取りだからこそ、ブラッククライアントに対しては毅然とした対応が求められるのです。
最後に
とはいえ、クラウドソーシングの案件すべてがこんな詐欺案件ではないですし、遭遇するのもかなりのレアケースです。
私の記事を読んで「クラウドソーシングって、危ないんだなぁ」と思われたかもしれませんが、今回のようなイレギュラーを除いて基本的には楽しくやっています。むしろ確率的には、サラリーマンをやってブラック企業に当たる方が多いでしょう。
気をつけるべき点によく注意し、ブラックな業者からは早めに手を引きましょう。特に「トライアル発注」「代行業者」「やりとりがずさんで、言ってることや提示された条件が違う」などには要注意です。
そもそも、なぜ代行業者を利用しているのでしょうか。自分のアカウントで発注が出せないのは、いったいなぜでしょうか。
そこに後ろめたい理由があるからです。皆さんも悪質なクライアントにはくれぐれも気をつけて、私と同じ目に遭わないようにしてくださいね。