結合定量の法則。
これは社会学者の高田 保馬氏が提唱した考え方である。
簡単に言えば「一人の人間が持てる人間関係には限界があるよ」といったもの。この場合における人間関係とは、数だけではなく質も考慮される。
今回はそんな、人間関係のお話し。
結合定量の法則を理解し、人間関係を整理しよう
たとえばツイッターでお互いにフォローし合うくらいの薄い関係性であれば、結合関係としての質が低いために1万や10万といったかなりの数でも関係性が持てるでしょう。ですが、その全員と密接な関係を築くことは到底できません。
なぜならば一般的な人間の持てる結合能力の定量を大きく越えているから。……まあそこまで難しく考えなくても、普通に考えて1万人の人間と友人にはなれませんよね。せいぜいフォロワーくらいの関係性が精一杯です。
さて、わかりやすくするために1万という大きな数字を挙げてみたわけですが、この数字がたとえ小さくなっても考え方は変わりません。50であれ100であれ、あなたの持てる人間関係の限界を超えていろいろな人と結びつこうとしても、結局一人一人の繋がりは浅い関係になってしまうことにはなんら変わりありません。
既に限界を超えてしまっている籠の中
そして普通の人は既に限界に達しています。
限界に達した中で疎遠になる人が出てきたり、あるいは疎遠にならなくても合う頻度が下がったりすることで総量をうまく下げてやりくりをしています。
たとえば高校を卒業して大学に入学したら、今まで高校で付き合っていたクラスメートとの関係は自然となくなって、本当に仲の良い人との付き合いだけに絞られていませんか? これは大学で新たに結合関係が多くできた分、高校から差し引かれているわけです。
大学を卒業して就職をしても同じこと。人間関係は友人関係のみではありませんから、会社での付き合いが多くなればなるほど家族や友人との関係が薄れてしまいます。これが行きすぎれば、いわゆる「私と仕事、どっちが大事なの!?」問題に発展します。(好きでやってるかどうかに拘わらず)仕事、つまりは会社というコミュニティにのめり込みすぎた分だけ奥さんとの結合関係が薄れてしまってるわけですね。……この場合の結合関係は肉体的な意味じゃないですから!!
時間で給料がもらえるサラリーマンは疎い
さて、サラリーマンをしているとどうもこの辺りのことには疎い人が多いのですが、時間が自らの報酬に密接に繋がるフリーランサー達はこの辺りの考え方に大変シビア。
売れっ子フリーランスでは、割の合わない仕事を切るのもマネジメントの一つです。自分の能力や時間には限界があるわけですから、うまみの少ない仕事をすればその分だけ他のまともな仕事ができなくなりますからね。それと同じように、不要な人間関係もバンバンと切っていくわけです。そして本当に大切な人間との交流(仕事での交流も含む)に時間や熱を費やすのです。
限られた籠の中、部屋のスペース
想像してみてください。
あなたは一つ、大きな部屋を持っています。その部屋の名前は、「私の人間関係」と言います。
その部屋の中に、あなたの築き上げた人間関係が目一杯詰まっています。深い関係であればあるほど、取る場所は大きく。薄っぺらい関係であればあるほど、占有する範囲は小さいです。
あなたの大切な恋人はタンスのような大きさですが、あなたのツイッターのフォロワー(フォロワーとしての繋がり以外は持っていないとする)は切手サイズです。
しかし重要なのは大きさではなく、その物が本当に必要かどうか。
たとえばやたら滅多にあなたに絡んでくるうっとうしい奴。こいつは好む好まざるに拘わらず、やたらとあなたに絡んでくるのでそこそこの大きさを持っています。でもうざい。
そしてそんな奴が部屋の中にある分だけ、他の物が入る余地がなくなってしまう。部屋のキャパシティ、つまり結合関係には定量がありますから。
余計なものは、捨ててしまおう
だから、余分な物は極力排除した方が良いのです。たとえ完全に排除できなくても、なるべく小さくしておくことはできるでしょう。
とはいえ、相手は物ではなく人間。排除するのには些か勇気が要ります。
ですが、忘れないでください。
邪魔モノが居るせいで、他の大切な人間が割を食っているということを。
そしてもう一度、思い出してください。
「私と仕事、どっちが大事なの!?」
我慢しているのは、あなただけではないことを。
そう、人間関係とは双方あってのもの。自分一人で完結できるものではありません。あなたと中々会えないことで、寂しい想いをしている人も居るのです。
愛する誰かのためにも、不要なモノを排除する勇気を――どうか、持ってください。