――新聞社で、働きたい。
そう漠然と思ったあなたに、実際に新聞社で働くことになった際にどのようなことをするのかを紹介しましょう。
新聞社とひとくちにいっても、様々な部署があります。
また同じく、新聞記者にも「取材記者」や「写真記者」、「整理記者」など分類が分けられてあり、同じ”記者”であってもそれぞれ違った仕事をしています。
・各事業局ではどう仕事を分配してるの?
・新聞記者はどのような種類があるの?
・もし新聞記者になった場合、1日どんなスケジュールで働いているの?
……などなどの疑問は、本記事を読めば解決できるようにしてあります。
自分がもしも、新聞社で働くことになった際のイメージをつかんでくださいね。
目次
まずは基本から。新聞制作の流れをざっと解説
新聞社では、毎日、読者の元に届ける新聞を作るのがメインの仕事になります。まずは、新聞を制作する際の流れを見ていきましょう。
新聞には、政治の話から国際情勢、日々のニュースに、生活に密着した記事、教育関連の記事もあれば、経済的な話や町の話題物、人物紹介などいろいろな種類の文章が掲載されています。
流れ:取材活動 → 記事作成 → DTP → 印刷 → 販売店へ配達
それらの記事を執筆する前に、必ず取材活動があります。
新聞記者やカメラマンが全国各地、いや世界中で取材した内容を記事にしていきます。
その記事や写真を編集して、さらに広告と一緒に新聞としてくみ上げていきます。現在は、記事も写真もデジタルデータとして、パソコン上でくみ上げます。
その後、くみ上げた新聞を実際の紙に印刷していきます。毎日の朝刊、夕刊でそれぞれ締め切りがあり、締め切りまでに間に合うニュースや記事を入れた新聞が始めて新聞紙面として始めて形になるのがこの段階です。
できあがった新聞は、トラックなどで各地にある販売店に届けられます。新聞の販売店は新聞社ごとにありますが、新聞社の社員が配っているわけではなく、各販売店が個人商店のように存在します。実際に、家や会社に届けるのは販売店の仕事になります。
新聞社の部署・事務局の分類とそれぞれの仕事内容
新聞社の仕事と言えば新聞記者のイメージがあるかもしれませんが、新聞を作る以外にもたくさんの仕事があります。新聞社の中の仕事について、事務局別にみていきましょう。
①編集局
新聞社の中で、実際に取材活動を行い、新聞を作っていくところは編集局です。
新聞記者やカメラマン、取材して出稿された記事を新聞の形に組み上げる編集者や記事の校正を行う校閲記者などがいます。
②販売局
できあがった新聞は、新聞販売店が読者の家や会社などに配達しますが、その販売店の管理や統括などを行っているのが販売局です。販売局では、地域ごとの販売戦略を練り、販売店のサポートをします。
販売店のサポートでは、販売活動の相談に乗ったり、販売店の業務改善をしたり、販売スタッフの教育なども行っていきます。
また、その他にも読者確保のキャンペーンを張ったり、読者増加のための施策を考えたりもします。
③広告局
新聞記事は、ニュースなどを報道するのが主な目的です。しかし、新聞にはニュースなどの記事だけでなく、企業の広告なども掲載されています。広告局では、そういった広告を扱う仕事をします。
企業などから広告を取ってくるわけですが、ただ単にスポンサーを募るという形だけでなく、新聞紙面に掲載出来る広告企画の立案や実際の紙面の展開方法などを考えます。
④事業局
新聞社は、古い歴史を持つ会社であることが多いです。そのため、全国的にも地域としても、いろいろな事業を継続して主催しています。
スポーツイベントや展覧会などの文化事業、教育分野などあらゆる分野で、事業を企画立案、実行していくのが事業局の仕事になります。シンポジウムやコンサートなどに加えて社会事業なども展開します。
⑤印刷局
新聞記事や写真をくみ上げたものを実際に紙に印刷して、新聞紙面にするのが印刷局です。
昔は全国紙やブロック紙、大手の地方紙は自前で印刷を行っていましたが、最近は印刷局が別会社となり、下請けとなっている社が多くなっています。
⑥人事総務経営
新聞社には、いろいろな部局があり、たくさんの職種の人が働いています。そして、そういった人たちの労務管理や経理などを行う部署もあります。
人事部や総務部、資材調達や健康管理、経営など会社の下支えとなる仕事です。
⑦技術局
新聞社では、記事の出稿や編集など全てパソコンを使いデジタル処理をして新聞を制作します。そのため、技術的な分野での人員も欠かせません。
出稿などをするためのシステム作りや出稿や編集作業のためのシステム、現場から記事や写真を送信するための通信システム、過去の記事や写真のデータベースなど、たくさんの技術的なシステムを構築する必要があります。
そういった技術的なことを行うのが技術局になります。各新聞社によりますが、この技術局に印刷局が入っている場合が良くあります。
また、最近では新聞記事や写真をインターネットで公開配信しているため、ウェブページの制作、構築などの仕事もあります。
新聞記者にも種類がある!? 各種新聞記者について
ここまで、新聞社全体の仕組みや流れを紹介してきました。ここからは、新聞記事を実際に作成する新聞記者についてみていきます。
①取材記者
取材をするための新聞記者にも、取材する分野により部署が分かれています。
国会や政治家の取材をする政治部。スポーツ関連が運動部。企業や金融関連などを取材する経済部。事件事故などは社会部。
芸能人や文化的な事は学芸部。外国や外交関連は国際部。それぞれの新聞社により呼び方は変わりますが、他にも医療関係の部署や生活家庭部などがありますし、地方の記事はそれぞれ支局や通信部などがあります。
新聞記者は、採用の段階では部署が分かれていませんので、新聞記者になってから配属や異動により決まります。
②写真記者
いわゆるカメラマンです。カメラマンにもいろいろな種類がありますが、新聞社のカメラマンは新聞に掲載される写真が幅広いために、何でも撮る必要があります。
また、カメラマンといえども、写真だけ撮っていればいいという風潮はどの新聞社でもありません。写真につける簡単な記事原稿や最近はウェブに掲載するために、動画の撮影を求められることが多いです。
③整理記者・編集記者
記者が取材してきた原稿や写真をとりまとめ、その日のニュースの価値などを考えて、扱いの大小を決めたり、紙面上の場所を決めたりして、実際に新聞紙面をくみ上げるのが整理記者、編集記者です。
④校閲記者
できあがった新聞記事を校正、チェックするのが校閲記者です。
校閲記者は、てにをはや感じのチェックだけでなく、用語の使い方やイラストや写真のチェック、記事内容のチェックなど非常に細かな部分まで点検する必要があります。
⑤デジタル記者
デジタル記者は、昔の新聞社にはなかった職種です。
新聞社も自前のホームページで、新聞記事や写真を公開しています。インターネット上で新聞を作るイメージです。
紙面と違い、容量の限度がないので、新聞紙面に掲載されなくてもウェブ上では掲載されます。時にはウェブ用だけのための取材、企画を行うこともあります。
⑥デザイン
新聞紙面に掲載されるイラストやコラージュ、地図やグラフ、表などを作るのがデザインの部署です。
パソコンでイラストレーターやフォトショップなどを使い、デジタルデータとして記事に合わせて作ります。
とある新聞記者の仕事の流れ
新聞記者の仕事の流れは、部署や職種により違います。同じ部署の記者でも担当により全く異なりますが、今回は事件事故を取材する社会部の警察担当の社会部記者についてみていきましょう。
1.警察担当の新聞記者は、早朝に始まり深夜に終わる
警察担当の新聞記者は、夜討ち朝駆けと言われる早朝深夜の取材が有名です。
警察幹部の自宅や警察署の出退勤時に待ちかまえていて、一言二言でも質問に答えてもらおうという目的で行います。朝6時前には、自宅周辺や警察署周辺などで待ち構えていることもあります。
2.”朝駆け(早朝取材)”が終われば、次は記者クラブへ
朝駆けの後、警察署の記者クラブに入ります。
事件事故などがあれば、その取材にかかり切りになることもありますが、それ以外でも警察からの発表や記者会見、捜査一課長の定期囲み取材などがあります。
大きな事件や事故がなくても、新聞は発行しますので、それに掲載するべく取材や記事執筆があります。
3.完成した原稿は校閲へ
出来上がった原稿は、本社にいるデスクに校正をしてもらい、手直しが入った原稿をチェックしOKならば、出稿されます。
警察担当の場合は、他の担当よりも、取材者がたくさんいることが多いです。そのため、デスクの前にキャップと呼ばれる警察担当の仕切り役が、原稿を取りまとめたりすることも良くあります。
4.特ダネは突然やってくる――泊まり込み勤務や長期出張も
警察担当以外の場合は、自分の持ち場を担当しながら、本社での泊まり勤務などをこなす必要があります。泊まり勤務は、基本的に夜中の締め切りまで働き、会社で仮眠をとることになります。
新聞記者の場合は、休みの日でも担当職場に何かが起きれば、すぐに呼び出されたり、長時間勤務になったり、時には出張に出たきりになったりもします。
【さいごに】
いかがでしたでしょうか。新聞制作の流れから、新聞社の職種、部署の違いなどが少しは分かりましたでしょうか。
今回は、警察担当の仕事についてのみですが、警察担当の中にも、殺人などの1課担当、金融がらみの2課担当、生活安全課などの生安担当に所轄担当などがあります。
また、同じ社会部でも都庁、県庁担当や市役所担当などもあり、仕事は様々です。
いろいろな担当や部署がある新聞記者は、就職活動でもとても人気の業種です。
その分、倍率が高く、狭き門ではあります。忙しい仕事ではありますが、社会的意義があり、やりがいを感じやすいのが長所です。逆に不規則な時間での仕事も多く、肉体的精神的な疲労が多いのが短所です。